製作工程
図案作成
毎日ひらめいたイメージを手帳に描きとめ、試行錯誤を続け、その後A4~A3サイズで仕上がりに近いミニ図案を作る。ここでほぼ文様が決定されます。最後に細部を調整しながら原寸大の紙に引き伸ばします。
下絵
仕上がった図案をガラステーブルの上に置き、その上に仮縫い状態の白生地をかぶせ文様の位置を合わせます。テーブルの下からライトをあて、青花紙に水を少量付けた面相筆でトレースします。青花紙とは、ツユ草科の在来作物の「青花」を搾った汁を和紙に滲み込ませた物です。描いた後、水に付けると消えて無くなります。
糊置
もち米粉にヌカ、塩、石灰など混ぜ、こね蒸し、もち糊を作ります。出来た糊が目立つように赤味の蘇芳(すおう)汁を加えます。ゆえに赤糊とも言います。これから糊置きです。柿渋紙で出来た三角すい状の筒に糊を入れ、搾り出しながら、青花下絵の上になぞり置きます。この時、筒の先に先金と言う小さな穴の開いた金属筒(2~3センチ)を装着します。この先から糸の様な細い糊が搾り出されるので、糸目糊(赤糸目)と言われます。糊が乾いた後、生地との定着を良くする為に水分をかけ、程よい状態で乾かします。糊は染料のニジミを防止する防波堤のような役目です。
彩色
まず、色作りです。僕の場合は12色の染料を基本に、色々調合して微妙な色合いを出していきます。だいたい調合できたら、試験布に色を取り確認します。色が仕上がったら彩色です。糊置きされた反物を竹の伸子(縦、横)で張り広げ、文様に色を入れていきます。この時、ニジミ防止の為、下から電熱をあて、乾かしながら彩色をします。彩色は、文様から「はみ出さず、透かさず」する事が大切です。加賀友禅の彩色の特徴に加賀五彩、外ボカシ、虫食いなどがあります。使う道具は、一般的に彩色筆(彩色)、面相筆(虫食いなど)、片刷毛(ボカシ)などです。
染め
彩色の仕上がった反物の文様の中を糊でふせ、糊に木の粉をかけます。これを中埋め作業と言います。この中埋めも「はみ出さず、透かさず」する事が大切です。中埋め糊が乾くと、生地との定着を良くする為に刷毛で水分をかけ乾かします。この後、3寸位の刷毛で染めていきます。いわゆる地染めです。染めた後は染料が溜まらない様に、反物を真っ直ぐ、平行にピンと張り乾かします
友禅流し
染め上がった反物は、再度蒸しをして地色を定着させます。その後、水に浸け糊を丁寧に落とします。中埋めや糸目の糊が落ち、文様や白い糸目が浮き上がってきます。いわゆる友禅流しです。犀川や浅野川で流していますが、最近では地下水を利用した人工用水での作業が多いようです。乾いた後、ゆのし(しわ取り)をかけて、仕立てです。